第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
「もう!……じゃ、少し寝て、起きたら、最後にアレに入る?」
陽華が窓の方向を指さすと、義勇の視線が、外に暗がりに微かに浮かぶ浴槽に注がれた。
義勇が驚いた顔で、視線を陽華に戻した。
「まさかお前に、朝から誘われるとは、思ってなかった。」
「…え?お風呂入るだけでしょ!!」
陽華が慌てて否定すると、義勇の陽華の抱く手に、力が籠もる。
「…しかし、お前と温泉に入ったら、何もしない…というのは、約束出来そうにない。」
「また、そんなことばっかり言って。」
呆れた顔で言い返すが、でも…と、少し考える。
「……ん、でも、旅行中は義勇のお願い聞くって、約束しちゃったから、…義勇がしたいって言うなら…仕方ない…かな?とは思うけど。」
そう恥ずかしそうに言う陽華に、義勇はさらに驚いた顔を浮かべた。
「朝からのお誘いだと思っていたが、今からの事だったか?」
背中に回された義勇の左手が動き、陽華の胸をギュッと、鷲掴みする。
「ひゃぁっ!違うって、もう!!」
「もう遅い…、」
身体を起こした義勇が、陽華に覆いかぶさってくるが、陽華は、慌ててその身体を押し返した。
「ま、待って…、今日は本当に…色々と動き回っちゃったから、私……もう…さすがに眠い。」
陽華がそう言うと、義勇は少し残念そうな顔をしながら、陽華の身体を優しく抱き締めた。
「そうだな。今日はお前の頑張りに免じて、大人しく寝るとするか。」
「うん、ありがとう。義勇、おやすみ。」
「あぁ、おやすみ、陽華。」
陽華は義勇の胸に頬を寄せると、その心地よい体温のおかげか、次第に深い眠りへと、落ちていった。
来年もまた、無事にこの日が迎えられますように。そう願いながら…。