第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
夜明け前。陽華はベッドの中で義勇に寄り添いながら、少しづつ、白んでいく窓の外を見つめていた。
「何を考えてる?」
義勇が、何も喋らない陽華に問い掛ける。
「うん…、勇兎のこと。やっぱり、連れてきてあげれば、良かったなって。」
「…そうだな。俺も同じこと考えていた。俺達はもう、二人だけじゃないと、思い知らされた。」
「うん。……勇兎、天元さんちで泣いてないかな?」
そう言って、顔を曇らせる陽華の頭を、義勇が優しく撫でる。
「そんなに心配なら、明日…もう今日だが、帰るか?」
「え、いいの?」
陽華が顔を上げて、義勇の顔を覗き込んだ。
本当は二泊の予定だった旅行を、陽華の気持ちを察して、切り上げてくれると言った義勇の気遣いが素直に嬉しかった。
「ありがとう、義勇。……久しぶりの二人きりも堪能出来たし、もう充分楽しんだよね。」
そう言って、嬉しそうに笑いかけるが、義勇は反対に腑に落ちない顔を返した。
「そうか?でも俺は、まだ第一の野望を、達成出来てない。」
「野望?」
「俺はお前と二人で、温泉に入るつもりで来たのに、まだ入ってない。」
まさか、真剣にそんなことを思っていたとは、陽華が小さく吹き出した。