第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
ろうそくに火の付いたケーキを義勇に差し出すと、みんなが一斉に歌い出す。
歌が終わると、義勇は戸惑いながらも、ろうそくの火を吹き消した。
「義勇さん、一言どうぞ!」
禰豆子に促され、義勇はさらに戸惑った
「す、すまない。誕生日を、こんな大人数で祝られたことがないから、少し戸惑っている。でも……、」
そこまで言って、義勇は顔を崩すと心から嬉しそうに笑った。
「みんな、ありがとう。」
今まで見たことない、本当に嬉しそうに崩れた笑顔に、みんなの顔にも、ほっこりと笑顔が溢れた。
「さぁ、みんなでお祝いしましょう!!」
陽華の合図で、みんな一斉にグラスを上げた。
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時刻は丑三つ時。
誕生日会は大盛り上がりをみせ、はしゃぎまわって、すっかりと出来上がった面々が、居心地のいいリビングの中で、思い思いに過ごし始めていた。
「お前達、もう遅い。そろそろ自分達の部屋に戻れ。」
義勇が、なかなか帰らない面子に、痺れを切らして言うと、酔った炭治郎が寂しそうな顔で義勇を見つめた。
「義勇さん!!まだ俺、トランプをしてませんっ!」
「と、とらんぷ?」
その言葉に義勇の顔が引き攣る。
炭治郎はその手に握られたトランプの箱を義勇に突きつけ、懇願するような瞳を向けた。
「俺、憧れてたんですよっ!修学旅行で、友達と夜中にトランプするの!……俺たち、鬼殺でそういう青春を謳歌してこなかったから……、だかか……、」
そう言って、悲しそうに瞳を揺らす炭治郎を、義勇はいい加減冷めた目で、見つめ返した。
「その言葉はもういい、聞き飽きた。それに、お前達は6人もいるんだ、人数は揃ってる。自分達の部屋でやれ。なんなら、不死川もつけてやる。」
「アァ?なんで、俺まで…、」
おまけのように扱われ、実弥が不機嫌そうに顔を顰めた。しかし義勇はそれを無視する。
「祝ってくれたことは、素直に嬉しい。みんな、ありがとう。……だがっ!!これ以上、俺と陽華の邪魔をすることは、何人たりと許さん。全員空気を読んで、今すぐにここから出ていけっ!」
とうとう堪忍袋の尾が切れた義勇によって、全員、部屋から追い出された。