第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
追い打ちを掛ける善逸の言葉は、更に続く。
「本気で女湯を覗こうとした俺とは、違うんですから。こんなところで惨めったらしく蹲ってないで、正々堂々と、誤解を解きに行けばいいじゃないですか?」
「我妻…お前……、」
心が弱っているのか、女湯を覗こうとした奴の言葉に、若干、感銘を受けそうになっている自分がいる。
しかしそこに拍車をかけるように、実弥も言葉を掛けた。
「まぁ、我妻の言う事も一理あるわな。陽華は今、お前が浮気したと、思ってるわけだしなァ。」
そう言われて、初めて気づいたように義勇は表情を曇らせた。
「そうか。俺はまた…、自分の感情を優先させてしまったようだ。」
陽華…、未熟でごめん。
しかし、今ならまだ間に合う。きちんと誠意を示し、謝罪すれば、きっと陽華は分ってくれる。
「不死川、我妻、ありがとう。」
義勇は立ち上がると、寝具室の扉に向かい、走りだした。
ドカッ!!
近づいて、勢いよく、寝具室の扉を蹴破る。
「うおっ、なんだ!?」
ちょうど、扉の外にいた村田が、飛んできたドアに驚いて、悲鳴を上げた。
「冨岡、お前、……扉っ、」
あまりの衝撃的な出来事に、声にならず、単語ばかりが口を付く。
「村田、済まない。今はお前に構っている暇はない。俺は今すぐに、陽華に会わなくてならない。扉は必ず、弁償するっ!!」
そう言って、義勇はエレベーターの方に走り出した。
その後ろ姿を、村田、寝具室から出てきた、実弥と善逸は、ニヤッと微笑みながら、見送った。
・
エレベーターが最上階で止まり、義勇は廊下に飛び出ると、自身の部屋の前で止まった。
先程は固く閉ざされていた部屋の扉。
もし声をかけて、また拒絶されたら……、そんな不安にかられながらも、義勇はドアノブに手をかけた。
カチャ
「……開いてる?」
義勇はそっと扉を開き、内部に侵入した。中は暗く、ひっそりとしていた。