第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
陽華だと思って、抱きついた人影は、カナヲだった。
「と、冨岡さん…っ!?」
背中の辺りに手を回され、半ば抱きしめられている状態に、カナヲの顔が赤くなる。
「す、済まない。陽華と間違えた。」
そう言って、離れようとする義勇の耳に、「ガサッ」と木々の擦れる音が聞こえた。
それと同時に、今一番聞こえて欲しくない声が……、
「…義勇、なにをしてるの?」
「っ…、」
聞き間違えるはずがないその声に、義勇が恐る恐る顔をあげると、陽華が義勇とカナヲを見下ろしていた。
「嘘…そんな……まさか、本当に義勇が、私よりも若くて可愛い子と………、」
「待てっ、誤解だ!」
慌てて言い訳してみるも、カナヲの背中に回された手、少し動けば唇が届いてしまいそうな距離感。説得力がない。
「私、信じてたのに。義勇は…、そんなこと、しないってっ!!」
義勇はゆっくりとカナヲを、地面に座らせると、慌てて陽華に近寄った。
「陽華、聞けっ、これは、」
「義勇、ひどいわ。まさか、カナヲが相手なんてっ!カナヲは、炭治郎の恋人でもあるのにっ!」
「落ち着いて、話を…、」
そう言って、陽華に手を伸ばす。しかし、それを拒否するように、陽華が一歩、後ろへ下がった。
「今はもう、何も聞きたくない。」
陽華はそう言うと、義勇に背を向けて、その場から走り出した。
「待てっ、陽華ーー!!」
・
ー 宇髄邸
「今頃、あいつら、ド派手に楽しんでっかなぁ。」
宇髄家の縁側で、月見酒を楽しんでいた天元は、晩酌の相手をしていた雛鶴にそう問いかけた。
「そうですね。」
雛鶴が優しげに微笑み、空になった猪口に、酒を継ぎ足す。
それを天元が飲み干すと、部屋のほうから、天元の子供らと騒いでいたはずの勇兎が近づいてきた。