第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
いつも、こう言った類の物に対して、飄々としている陽華が、こんなにも慌てている様子を初めて見た。
しかも勇兎を産んでからというもの、さらに拍車が掛かり、怖いものなんか、何もないように見えたというのに。
いつも馬鹿にされている分、若干の優越感に浸ると、義勇は陽華の背中を優しく撫でた。
「陽華、落ち着け。周りには、誰もいない。」
そう言われて、涙目で義勇に抱きついていた陽華が、義勇の肩口から、後ろの暗がりに目をやる。
すると、少し先に、ぼんやりと浮かぶ、白い人影が見えた。
「やあぁーーーー!」
パニックになった陽華は、義勇から離れると、一目散に走り出した。
「陽華っ!!」
すごい勢いで豆粒になっていく陽華の、その後ろ姿を見て、義勇は舌打ちした。
「くそっ、さすがは元柱か…。」
「義勇さん、感心してないで、追いかけないとっ!」
炭治郎に促され、義勇が走り出す。しかし、その前に誰かが立ちふさがった。
「……誰だ。」
月明かりの下、目を凝らして問いかけるが返事がない。それでも、目の前の相手は覚束ない足取りで、義勇にゆっくりと近づいてきた。
不審に思った義勇が、手に持っていた灯りを、スッとかがした。
「あ……あ……ぁ……、あ…、」
暗闇に浮かぶ、血色の悪い顔に焦点の定まらない赤い目。不気味な唸り声。口からは赤い血が滴り、だらりと舌が垂れ下がっていた。
人間のようだが、何か様子がおかしい。ソイツは義勇に焦点を当てると、突然、
「うああぁぁぁぁーー!!」
と、金切り声を上げ、襲いかかってきた。
「うぁっ、なんだっ!」
慌てて、その一撃を避けきると、さらに後ろから、もう一体現れて、義勇に襲いかかってくる。
義勇はそれを軽くいなすと、炭治郎に向き直った。
「炭治郎、こいつらはなんだっ!?」
「義勇さん!!ゾンビです……きっと!」
「ゾ、ゾンビ!?」
「えーと、外国の鬼…みたいなもんです!(つか、村田さんっ!演出が本気過ぎるっ!)」
「向こうの?…なんで、こんなところに!」
驚く義勇を横目に、炭治郎はカナヲを探した。カナヲにはまだゾンビの気は回ってないようだった。