第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
「さっむーい!!」
ホテルの外に出ると、2月の冷えた空気が、身体に突き刺さり、陽華は思わず、浴衣の上に羽織っていた羽織の襟を、きつく閉じた。
「炭治郎?本当に、行きたいの?」
寒さに心が折れかけた陽華が問いかけると、炭治郎は済まなそうに苦笑いを浮かべながら、「はい!」と、返事を返した。
「寒いから部屋にいる。」と言った禰豆子と、「俺様はまだ、食う!」と言った伊之助に、それに付き添うと言ったアオイを置いて、陽華、義勇、カナヲ、炭治郎の四人は、寒空の中、刀鍛冶の集落を目指して、歩き出した。
(本当は俺だって、こんな寒い中、行きたくないけど…、村田さんに頼まれちゃったんだよな。)
炭治郎は、深々と白いため息を吐き出すと、村田との会話を思い出していた。
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夕食の為、遊戯室から宴会場に向かった炭治郎は、その前に待ち構えていた村田に手招きされ、裏へ連れ込まれた。
「どうしたんですか、村田さん?」
「炭治郎、お前にお願いがあんだよ。」
そう言うと、村田は炭治郎に手を合わせた。
村田のお願いは、このホテルの先にある、まだ形を残している刀鍛冶の集落に、今回の面々を誘導して欲しいと言うお願いだった。
この寒空に、誘導は難しいのでは?という、炭治郎の意見に、村田は賛同しながらも、頭を下げた。
「済まない、宇髄オーナーに頼まれたんだよ。」
どうやら、その集落の辺りに、大型の遊具施設を造る際、その刀鍛冶の里をそのまま残した「戦慄!破棄された集落!刀鍛冶の里・廃墟ツアー」なる遊具設備を設けたいらしい。
そのために造った装置や人材の、成果を試したいとの事だった。
人を騙すのは苦手な炭治郎だったが、確かに学校イベントでの肝試しは、憧れがあったのは間違いなかったから、なんとかスムーズに、陽華たちを誘い込む事が出来ていた。
(大掛かりなお化け屋敷みたいな、感じなのかな?)
炭治郎は、少しだけワクワクした気持ちで、陽華達の後ろを歩いた。