第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
刀鍛冶の里
鬼に唯一対抗できる武器、日輪刀を鍛える、刀鍛冶職人が住む集落。
日輪刀を鍛える鍛冶職人は、けして多くない。その技工には、特殊な技術、加工を要するからだ。
それらの技術を後世に残していく為にも、刀鍛冶の里は鬼殺隊の要として、厳重に守られてきた。
もしもその存在が露呈し、危険が及ぶ可能性があれば、その里はすぐに廃棄され、新しい里へと移ることとなる。
炭治郎の言っている里は数年前、上弦の鬼の来襲で破棄された刀鍛冶の里。陽華にとっても、柱になる前から、お世話になっていた深い場所でもある。
炭治郎は、キョロキョロと周りを確認すると、陽華達に近づき、さらに声を潜めて続きを語った。
「今は、完全に人が住んでない廃墟のはずなのに、………時たま、このホテルにいると…聞こえるらしいんです。夜の静かな闇の中に響く、カーン、カーン…と、刀を鍛える音が。きっと、満足する刀が打てなかった職人達の無念が、怨霊となって……、」
自分達を怖がらせようと、真顔でそう話してくる炭治郎に、陽華は思わず、笑ってしまった。
「あははっ!炭治郎、私達は今まで、夜の闇の中で戦ってきたのよ?
暗い森や山、廃墟や墓場。鬼がいると言われた所は、どんなところでも行ってきたでしょ?今更、そんなので怖がる人なんて、この中にいるわけ……、」
そうケラケラと語る陽華の浴衣の袖が、誰かによってギュッと引っ張られる。
陽華が振り返ると、義勇が裾を掴んでいた。
「何してるの、義勇?」
「いや、なんとなく……。」
義勇は、スッと浴衣から手を離すと、炭治郎に言い聞かせるように言った。
「炭治郎、もう夜も遅い。今日はやめて、明日の明るいうちにでも、見に行ったらどうだ?」
「何言ってるんですか!旅行の夜はこれからですよっ!それに…、」
炭治郎はキラキラした目で、義勇に詰め寄った。
「俺、憧れてたんですよっ!!臨海学校で、肝試し!!……俺、学校に通ったことないから…、」
「わかった、わかった。」
炭治郎の曇りなき眼を見ているのが、段々と辛くなってきたのか、義勇は顔を逸して、炭治郎を押し戻した。
「少しだけだぞ。」