第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
「なぜだ…、こんなはずじゃ…、」
遊戯室から、ホテルの廊下に出た義勇は、明らかに落ち込んだように、近くの窓枠に手をかけた。
結局、伊之助との卓球勝負は、最終局面で、水の呼吸・拾壱ノ型・凪を決めた義勇の勝利に終わった。
のちに伊之助は語った。全く手元が見えず、気づいたら球は、後ろの壁にめり込んでいたと。
それでも、義勇の顔は優れなかった。
なぜなら、温泉から上がったら、陽華とのめくるめく、濃厚で熱い、まぐあいが待ってるはずだったのだから。
それなのに自分は、後輩の安い挑発に乗り、時間を忘れて、勝負に夢中になってしまった。
「はぁ…、俺は未熟だ。」
落ち込む義勇の肩を、陽華がポンポンと叩いた。
「あんなにはしゃいでる義勇、初めて見たよ。楽しかったんだね?」
「陽華、すまない。…約束していたのに、夕食が終わったら、必ず……、」
「う?別に全然、気にしてないよ?そんなことより、お腹空いちゃった。早く、宴会場いこ?」
そう言って、スタスタと前を歩いていく陽華の後ろ姿を、義勇は寂しい気持ちで見送った。
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宴会場に入ると、美味しそうな香りが鼻孔を擽り、陽華はお腹がぐ〜っと、鳴るのを感じた。
広い宴会場の前の方に、ぽつんと置かれた大きな座卓。その上に、所狭しと並べられた料理。
「わー、美味しそう♪」
「あぁ、宇髄オーナーから、派手に持て成せって、言われたからさ。うちの自慢の料理チームが腕によりをかけたぜ?」
後ろから、宴会場に入ってきた村田が自慢げに語る。
「本来なら、一人一膳づつで離れてるんだけど、炭治郎がワイワイ食べたいって言うからさ、みんなで囲めるように大座卓した。」
「村田さん、ありがとうございます!」
村田の親切な計らいに、炭治郎は感謝を述べると、用意された席に座った。
陽華も、自分の名前の書かれた席に座り、置かれた料理を見渡した。
「あっ!ほらっ、義勇。鮭大根もあるよ。」
旅行前に、宇髄に何か食べたいものはないかと聞かれ、リクエストしていたものだった。
少し元気のなかった義勇も、それを見たとたん、ほわっと明るい空気を取り戻した。