第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
先に動いたのは、伊之助だった。
「まずは、俺から行くぜっ!おりゃっ!!」
伊之助の放ったサーブが、真っ向から義勇に向かってくる。
(軽い回転が掛かってるな、なら、これでどうだっ!)
義勇はラケットを回転に合わせるように打ち付けると、勢いそのままに伊之助の陣地へ、球を叩きつける。
球は、シュッと音を立てて、伊之助の横を掠めた。
「義勇さん、一点!!」
「サーッ!!」
義勇がラケットを高く上げて、叫ぶ。
「……くっそっ!!」
思いっきり悔しがる伊之助に、義勇はむふふと微笑むと、ラケットと球を構えた。
「次は俺の番だな。……フンッ!」
義勇の大きく曲がるサーブを、伊之助がぎりぎりで打ち返す。
そのまま、勢いよく返ってくる球を、義勇は身体を捻って返すと、伊之助がその空いた反対側を狙い、打ち返す。
「クッ!!」
それをぎりぎりすくい取った義勇の球が、大きく放物線を描き、球は伊之助の陣地で大きく跳ね、伊之助は床を蹴って、飛び上がった。
ー 獣の呼吸・陸ノ型
「狂い裂きっ!!」
勢いよく回転した伊之助のラケットが球を捉える。
バシッ!!
いきなりの呼吸技に、義勇は球を捉えきれずに見送った。
「伊之助、一点っ!」
「チョレイっ!!」
「くそっ!」
もうすでに勝利したかのように、喜ぶ伊之助を、義勇は苦々しい顔で睨みつけた。
「はっ、これが元柱か?たいしたことねーなっ!」
「嘴平…、どうやらお前を、甘くみていたようだ。お前が呼吸を使うというのなら、俺も本気を出す。」
「ハンッ、望むところだぜっ!!」
そんな二人に、ハラハラしながら、陽華が声を掛けた。
「本気出すのはいいけど、二人とも、台とか壁、壊さないでね?」
結局、二人の卓球勝負は夕方、夕食時まで続いた。