第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
何やら不穏な空気を感じ、陽華は義勇の膝の上に乗せられた手を握りしめて、顔を覗き込んだ。
「義勇、怒ってるの?」
「別に、怒ってない。ただ…」
義勇は重ねられた手を返すと、陽華の手をぎゅっと握り返した。
「二人は…久しぶりだから、もっと…静かに、二人だけで…過ごしたかった。」
そう言って、明らかに拗ねたように顔を背ける義勇に、陽華は苦笑いすると、その耳元近づき、そっと囁いた。
「そんなに拗ねないの。お詫びに旅行中は、義勇のお願い、何でも聞いてあげるから。」
それを聞いた義勇の纏う空気が、先程とは見違えるほど、明るくなっていくのを感じた。
ふと陽華の脳裏に、この間天元から聞いた、「男なんて単純なんだから…、」という言葉が頭を過ぎり、「本当だ。」と、小さく呟いた。
「はぁうっ!!」
「善逸さん、どうしたの?」
突然、耳を抑え、下を向く善逸に、禰豆子が慌てて声を掛けた。
「いや…なんでもないよ。禰豆子ちゃん。」
そう言って、笑顔を浮かべる善逸の顔は真っ赤に染まっていた。
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目的のホテルに付き、バスを降りた一行は、目の前に建つ、大きな建物を見上げながら、口をぱっくりと開けた。
「すごい、立派な建物ですね?本当に、宇髄さんの言うとおり、タダ同然で泊まらせて貰えるんですか?」
そう質問してきた炭治郎に、陽華はコクリと頷いた。
「このホテル、実はね。産屋敷家が所有してるホテルなのよ。」
「「ええーーー!?」」
全員の声が驚きで重なった。
「炭治郎、この場所に見覚えない?」
陽華の言葉に、炭治郎が辺りを見回した。
ホテルの周りは森になっており、炭治郎の目には、なんの変哲もない鬱蒼とした木々が広がっているように見えたが、匂いにふと懐かしさを感じる。
「この温泉の匂い……、もしかして、元刀鍛冶の里があったところですか?」
「うん、正解♪」
陽華は、正しい答えを言った炭治郎に、ニコッと微笑んだ。
「この一帯は、丸々、産屋敷が所有する土地が続いてるの。
ここは都心からも、そんなに離れていないし、温泉と言う資源もあるから、それらを生かした、巨大なレジャー施設を造る計画があるみたいよ。」
「レジャー……施設?」