第46章 ※番外編・祝、冨岡義勇生誕 帰ってきた、鬼殺隊!!
義勇誕生日の前日
東京駅前のロータリーで、宿泊先のホテルが手配してくれたバスの到着を、陽華と一緒に待っていた義勇は、周りの様子を不思議に思い、陽華に語りかけた。
「…陽華。二人きりの旅行だと、聞いていたんだが、」
そう言って、義勇がチラッと視線を動かすと、ちょうど目があった弟弟子の炭治郎が、陽華達に近づいてきた。
「義勇さん、おはようございますっ!こんな大人数ですいません。陽華さんも、今日は宜しくお願いします!!」
そう言う炭治郎の後ろには、いつもメンバー、禰豆子、善逸、伊之助に加えて、カナヲとアオイの姿もあった。
陽華は炭治郎達に気を使って、義勇の耳元に近づくと、小さな声で答えた。
「ごめんね、義勇。旅行の話ししたら、炭治郎たちも行きたいって、言い出して、断れなかったの。」
「すみません!!極力、義勇さんたちのお邪魔はしないようにしますからっ!」
義勇の放つ匂いで察して、慌てて炭治郎が頭を下げた。しかし、すぐに頭を上げると、キラキラした目を義勇に向けた。
「でも俺、憧れてたんですよっ、こういうのっ!学校にも通ってなかったんで、修学旅行とか、みんなでワイワイする旅行って、楽しそうじゃないですか?」
そう言って、曇りなき眼を向ける炭治郎に、陽華もうんうん。と頷いた。
「そうね。私も学校には通ってなかったし、そういうこともしてこなかったから、憧れはあるかも。」
陽華は炭治郎に向かい、にっこりと微笑んだ。
「炭治郎、今日は思いっきり楽しもうね!!」
「はい、陽華さん!!」
「………。」
思わぬところで同調し始めた、愛しい妻と弟弟子に、隙きあらば、陽華と二人で温泉に入って、しっぽりと……、そんなことを考えていた義勇は、何も言えずに口を噤んだ。
そうこうしているうちにバスが到着し、義勇達一行が乗り込む。
陽華たちを乗せたバスは、ここから片道2時間くらいの、東京郊外にあると言うリゾート高級ホテルへと向かい、走り出した。
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「陽華さん、今日は素敵な格好してますね。」
車中、通路を挟んで座る禰豆子が、コートを脱いだ陽華の姿を見て、話しかけてきた。