第7章 ※制御不能
戻ったの旅館の一室に、義勇の胸で小さく嗚咽する陽華の声だけが響いた。
鬼殺隊の失敗は、人の死に直結する。でも自分たちは万能じゃない。それは義勇達本人が一番良くわかっている。
だからこそ、前を向かなくちゃならない。
でも、そんなこと、一番後ろを向いてる自分が言えるわけがなかった。義勇は気の聞いた言葉を何一つ言えない自分に苛立ちを感じ、陽華を抱く手に一層力を込めた。
「陽華、今だけだ。明日から泣き言は言ってられない。柱は強くなくてはならない。」
「うん。わかっ…てる…、わかってるよ!」
陽華は顔を上げて、涙で濡れた瞳でまっすぐ義勇を見つめた。
「でもっ…、だからっ!…今だけ、今だけは…全てを忘れさせて欲しいの。…おねがい……義勇、」
そういうと陽華は、義勇の羽織の襟元を掴み、自分の方に引き寄せる。そして、義勇の唇に自分の唇を合わせた。
「っ!?」
義勇が驚いて離れようとするが、陽華はがっちり襟元を掴み離さなかった。
陽華が貪るように唇を重ねると、その瞬間、義勇の中でも何かが弾けた。
陽華に答えるように、激しく唇を重ねた。お互い、我慢してた何かが溢れだしたようだった。
陽華の手が義勇の羽織を剥ぎ取ると、義勇の手が、陽華の隊服へと伸びた。襟元のホックを外し、ボタンを外す。
隊服を脱がすと、戦い中に胸が揺れるのが嫌だと巻いた白いサラシが露になった。義勇も自分の隊服を脱ぎ捨てる。鍛え抜かれ引き締まった身体が障子から漏れた日の光に照らされていた。
義勇は陽華を引き寄せると、貪るように唇を重ねた。陽華の胸元にあるサラシの結び目を外すとするするとほどけていく。そして、ずっと抑えつけられていた、豊満な白い果実が姿を表した。
もう止まらなかった。今だけは全てを忘れて、欲望をむき出しにお互いだけを求めあった。