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【鬼滅の刃】水魚之交

第44章 水魚之交





墓参りを終え、炭治郎達と別れた頃には、日は傾きかけていた。

「義勇、今日はどこかに泊まって、明日の朝から、また狭霧山を目指そうか?」

「そうだな、急ぐ旅でもない。鱗滝さんには鴉を飛ばそう。」

時間は掛かると踏んでいたが、予想以上だった。陽華達は近くの街で宿を取り、一泊すると、翌朝また狭霧山へと向かい、歩き出した。



狭霧山から、ほど近い街に着いた。修行時代に、よく鱗滝と一緒に買い出しに来ていた、勝手知ったる街。

陽華は焼き鳥屋の店先で水を撒いていた店の女将の姿を見つけて、声をかけた。

「おばちゃんっ、こんにちわっ!」

陽華が元気に声を掛けると、女将は驚いた表情で陽華を見た。

「あら、陽華ちゃんじゃない。久しぶりねぇ。」

「うん!おばちゃん、久しぶり♪」

この女将は、修行時代、陽華達が子供だけで買い出しに来ると、よく焼き鳥を一本づつご馳走してくれた。

鬼殺隊に入隊した今でも、狭霧山に向かう途中で、必ず声を掛けることにしていたが、最近はだいぶご無沙汰だった。

「最近は姿を見せなかったからね。寂しかったわよ?……あら?」

女将は、陽華の後ろにいる義勇に気づいて、陽華に目配せを送った。

「今日はえらくいい男を連れてるじゃない!やっと、彼氏が出来たのかい?………ん?でも…何処かで…、もしかして、義勇君かい?」

「はい、お久しぶりです、おばさん。」

義勇が答えると、女将は懐かしさに顔を綻ばせた。

「あらあら、可愛かった義勇君が、こんないい男になっちゃってっ!陽華ちゃんは、よく顔を見せにきてくれたけど、アンタはちっとも見せないから、心配してたわよ!」

「すいません。」

女将の言葉に、苦笑いを浮かべる。ここを通るときは錆兎の墓参りか、鱗滝に用事がある時になるから、素通りすることが多い。

あの頃と変わらない笑顔で笑いかける女将に対して、義勇はお世話になっておきながら、疎遠になってしまっていたことを後悔した。

しかし、義勇のそんな様子も気にすることなく、女将は喋り続けた。

「二人で帰ってきたってことは、もしかして…そういうことかい?」

勘ぐるように、聞いてくる女将さんに、陽華は笑顔で答えた。




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