第44章 水魚之交
他の全ての墓を参り終えた陽華は、最後に胡蝶家と書かれた墓の前に立った。
ここに来るのは、久しぶりだった。もちろん、あの戦い後は初めてになる。前はカナエに会いに来ていたが、今はしのぶもここに入っている…ことになっている
陽華は持っていた最後の花を墓の前に置いた。
報告したいことが、たくさんある。
感謝したいこと、決意したこと、謝罪しなくちゃいけないこと。
長い時間、胡蝶家の墓に手を合わせ、満足そうに微笑むと、陽華は立ち上がった。
そして、全ての墓を見渡した。
色んなことがあった。
家族を鬼によって奪われ、絶望の中に見つけた、自分の居場所。
そこで、沢山のかけがえのない仲間達に出会い、そして無くした。
悲しみに、打ちのめされたこともあった。自暴自棄になり、何度も諦めそうになった。
それでも、今ここにいる仲間たちと励まし合い、時に叱咤激励されながら、強く、生きてきた。
そして、これからも生きていく。
陽華は最後に、墓に向かい大きく頭を下げた。そして、心のなかで呟く。
ありがとうございました!