第44章 水魚之交
蜜璃の墓に手を合わせると、陽華は炭治郎達と場所を譲り、後ろで佇む天元の隣に立った。
チラッと天元を見上げると、天元は「ん?」と、問いかけるように陽華を見た。
「…天元さん、この間はごめんね。」
そう言えば、暫くバタバタしてたり、天元も忙しくてあまり蝶屋敷に姿を見せなかったこともあり、謝罪と報告が遅れていた。
陽華が反省するように苦笑いを見せると、天元は優しく笑って、陽華の頭に手を乗せた。
「別に気にしちゃ、いねーよ。」
そう言って天元の手が、陽華の頭をくしゃくしゃに撫で回した。陽華は「もうー!」と、叫びながら、天元の手を払い除けた。
髪型を元に戻すと、みんなの墓を見渡しながら、陽華は天元に言った。
「私ね、やっぱり自分に正直に生きる事にしたの。だから、今日はみんなに報告した。まだ、みんなのところには行きませんっ、ごめんなさいっ!って。」
「あいつらん中に、文句言うやつなんか、いねーだろ?やっぱ、そうじゃなきゃ、お前らしくねーからな。」
天元はそう言って、派手に笑った。
いつも呆れながらも、優しく見守って、兄のように接してくれた天元。
「天元さん、ありがとう。」
陽華は感謝の言葉を述べると、満面の笑みで天元に笑いかけた。