第44章 水魚之交
義勇と陽華も、もし命が尽きた時は、来世で出会う誓いを立てていた。
その時は、お墓を近くに置いて欲しいと、遺書に残していたからこそ、小芭内も蜜璃も同じことを願うんじゃないかと、そう思った。
「それを天元さんに話したら、天元さんが蜜璃の実家に行ってくれてね。」
そう言って、天元に視線を送ると、天元は代わりに引き継いで、話し始めた。
「事情を話したら、どうやら甘露寺家にも、伊黒の存在は知れ渡ってたんだよ。甘露寺の手紙によく出てきたそうだ。だから、嫁に行くなら、この人の所だろうと予想してたみたいでよ。少し悩んでたけど、渋々了承してくれた。って、わけだ。」
大事な娘だ。それは両親としても、悩むところだろう。しかし蜜璃の両親も、娘が鬼殺隊に入ったときから、何処かでこうなる事は、予想していた。
あんなに嫁に行きたいと、願っていた娘が選んだ人なら。と、天元の提案に了承してくれた。
「そうですか。二人が出会えるといいですね。」
炭治郎が空を見上げながら、そう呟くと、天元が小さく笑いながら答えた。
「伊黒の奴、ネチネチしつこいからな。甘露寺のこと、しつこく探し出すんじゃねーか?」
「うん、私もそう思う。」
陽華が天元の意見に賛同するように、うんうんと頷くと、炭治郎達が笑った。
天国で小芭内が「五月蝿い」とか、言ってるかな?そんなことを、陽華は思った。