第42章 ※繋ぐ想い 後編
「陽華…、もう…出る。…後は自分でする、退けっ…。」
義勇が、荒く息を吐き出しながら、陽華に声を掛けた。それに応えるかのように、陽華の動きが止まる。
しかし陽華は、顔を俯かせたまま、その場から動こうとしなかった。
「……陽華?」
義勇が怪訝な顔で覗き込むと、陽華は俯いたまま、小さく呟いた。
「中に出して…いいよ。」
「陽華…お前…、」
義勇が目を見開いたまま、陽華の顔を見た。
「義勇!!」
突然、陽華が顔を上げて、何かを決意したように、義勇の顔を見据えた。
「私、やっぱりまだ、諦めたくない
!!」
そう言った陽華の瞳からは、迷いは消えていた。
「……私、あの戦いのあとから、ずっと諦めっぱなしだった。痣の宿命なんだから、仕方がないことなんだって。義勇と二人、生き残れたことが奇跡なんだからって…。」
そう思うことが当たり前で、これ以上を望むのは、死んでいった仲間たちにも申し訳ない。そう思い、ずっと気持ちに蓋をしてきた。
「…でも、これから先も仕方ないで、色んなことを、諦めなくちゃいけなくなる。……私…そんなの…嫌。」
「…陽華、」
困惑した表情を浮かべる義勇に、陽華は小さく微笑んだ。
「だって…生きてるからには、やっぱり欲も出てきちゃう…よね?……私、義勇と夢見た幸せな未来も、四年後も…その先の未来も、全部諦めたくない!
痣の運命なんかに、負けたくないの!!」