第41章 繋ぐ想い 前編
「で、天元さんは何しにきたの?」
目覚めた時は面会禁止だろうが、引っ切り無しに来ていたのに、ここ最近は姿が見えなかった。
「何って、見舞いに来てやったんだよ。……それと、通達を持ってきた。最後の柱合会議のだ。」
「最後の……。」
天元の言葉で、一瞬で陽華と義勇、二人の顔が柱の顔に戻り、天元は感心したように、小さく唸った。
「そうだ。来月の頭になった。それなら、三人揃って、少しは元気になってんだろ?」
「三人てことは、天元さんは参加しないの?」
「俺はもう柱じゃねーからな。…それに、そんな暇でもないんだわ。嫁が三人揃って、コレでよ?」
そういうと天元さんは、ぽっこり腹を示す仕草をした。その仕草に、陽華が驚いたように目を見開いた。
「うそ!?おめでとう、天元さん!!」
「んなわけでよ。三人共、悪阻の真っ最中で、忙しいんだよ。」
大変そうに困り顔を見せているが、天元からは、嬉しくて仕方ない雰囲気がただ漏れだった。
そんな天元を見て、義勇も笑顔で祝の言葉を贈った。
「宇髄、それはめでたいな。」
「冨岡、ありがとうな。……お前、いい顔するようになったなぁ。少し気味悪いけど。」
自分が柱だった頃には、絶対に見せなかったその笑顔に、気味の悪さを感じながらも、天元は微笑ましい気持ちになった。
「生まれたら、連絡してね?宇髄さんとお嫁さん達の赤ちゃんなんて、絶対に可愛いもんっ!」
陽華が興奮したように、近寄ると、天元はその頭を優しく撫でた。
「あぁ、抱かせてやるよ。俺たちの方が早いからな。お前もいい練習になるだろ?」
「え?……練習?」
「そうだよ。田舎帰ったら、お前達も祝言挙げんだろ?そしたら、子供だって出来る。その時の為の練習だよ。」
「……あ、でも、私達は…、」
そう言いかけた陽華の顔が瞬時に曇る。それを見ていた義勇が、そっと陽華の手を握りしめた。そしてそのまま黙り込んでしまった二人に、天元が察したように言葉を掛けた。
「ん、なんだよ?……もしかして、気にしてんのか、痣のこと?」
ドンピシャで言い当てられ、陽華の顔に微かに動揺が走る。それを感じて、宇髄は小さく息を吐いた。