第41章 繋ぐ想い 前編
「結局、オマケ組だった私たちが、一番生き残っちゃったね。」
「そうだな。」
「どう?水柱としての責務は、全う出来た?」
陽華の質問に、義勇は少しだけ考えると、
「正直解らないが、鬼の親玉を倒せたなら、及第点じゃないか?」
そう言って、穏やかに微笑んだ。すると突然、陽華が義勇の頭を撫でた。
「よく頑張った。義勇、お前は凄い子だ。」
「お前、それ…、」
何処かで聞いた台詞に、義勇が呆れたように陽華を見ると、陽華は「嬉しいでしょ?」と言わんばかりに、得意げに微笑んでいた。
そのドヤ顔があまりにも可愛くて、義勇は苦笑しながら、頭の上に乗った陽華の手を取り、自分の方に引き寄せた。
そのまま、手を腰に添え変えて、ぎゅっと身体を密着させる。
「ちょっと、水柱様?……ここ、廊下なんですけど。」
「そろそろ皆も見慣れただろう?…誰も気にしない。」
「そんな訳ないでしょ!…師匠だって、呆れて…んぅ!」
陽華の言葉が言い終わらないうちに、義勇の顔が近づいてきたかと思うと、その唇を塞がれる。そのまま数度、吸い付くように唇も重ねると、義勇は満足したように唇を離した。
「もうっ!!」
陽華が怒ると、義勇はムフフと満足そうに笑った。すると突然、前方からヒューっと口笛が聞こえきた。
「よぉ、お二人さん。相変わらず、熱いね〜♪」
「天元さん?」
声の主は元音柱・宇髄天元だった。
天元はニコニコと微笑みながら、二人に近づいてきた。その顔に、陽華は申し訳無そうに頬を赤らめたが、義勇は邪魔されたとばかりに冷たい視線を贈る。
その視線に苛ついた天元が、顔を引き攣らせながら、義勇にいった。
「んなに睨むなら、公共の場ですんな。それに未成年もいるんだ。そういう事すんなら、せめて部屋で、鍵掛けてやれ。」
天元の真っ当な意見に、陽華は素直に「ごめんなさい。」と言ったが、義勇はどこ吹く風といった感じで、目線を逸しただけだった。
「でもまぁ、命まで掛けて頑張ったお前らが、今ここでこうして、人目も気にせずに、イチャこら出来んのは、平和な証拠だわな。」
苦言を呈しながらも、二人の姿を感慨深げ見つめ、うんうんと嬉しそうに頷いた。