第41章 繋ぐ想い 前編
「でも、お前たちが無事良かったよ。なんだかんだ言っても、長い付き合いだしな。……それに俺、冨岡に言いたいことあったんだ。」
村田の言葉に、義勇は首を傾げた。
「無惨と戦ってた時、お前が俺に炭治郎を、安全なところに連れて行けって、言っただろ?あの時のお前、あいつと重なったよ。」
「…あいつ?」
「錆…兎、だったよな?選別の時、俺達を守ってくれたお前の親友。ケガしたお前を俺に預けて、自分は鬼に向かっていっただろ?…あの時、無惨に向かって行ったお前を見て、それを思い出したんだ。」
村田の言葉に、義勇は驚いたように固まった。何度も村田の言葉が、頭の中に響く。
(……そうか。俺はちゃんと、錆兎から託された物を、繋いでいけてたんだな。)
義勇の瞳から、一筋の涙がゆっくりと頬を伝い、零れ落ちた。
「なっ、なんで泣いてんだよ!」
「あぁ~!村田が、義勇を泣かしたー!」
陽華が村田を茶化すと、村田は慌てた。
「いや、だってっ!」
嬉しそうにニコニコと笑う陽華と、慌てる村田を見ながら、義勇は残った方の手で涙を拭うと、村田に笑い掛けた。
「泣いてすまない。……村田、ありがとう。」
その義勇の笑顔は、まるで憑物が取れたように、晴れやかだった。
その後村田は、義勇と食事に行く約束をして、嬉しそうに去っていった。
村田が去ると、陽華は義勇に向かって、嬉しそうに囁いた。
「よかったね。」
「…あぁ。」
義勇は陽華と視線を合わせると、嬉しそうに頷いた。