第41章 繋ぐ想い 前編
「村田、申し訳ないが、陽華は俺の大切な人だ。いかに恩人の村田と言えど、距離が近すぎる。」
「あ…ごめん。」
義勇の真剣な眼差しに、村田は慌てて陽華から離れた。そして、先程陽華と熱い抱擁を交わしたことは、絶対に黙っておこうと思った。
義勇は二人の側まで来ると、二人に問いかけた。
「何の話しをしていた。」
「村田とね、これから何をして生きていこうか?って話をね。」
義勇の問いかけに、陽華は簡単に説明した。
「ちなみに、村田は恋人が欲しいんだって。」
「おい、さらっと話すんじゃねぇー!」
陽華のさらっとした簡単な説明に、村田が思わず突っ込みを入れた。それを見て、義勇が意外そうな顔をして、村田を見た。
「問題ない。村田、お前はいい奴だ。きっとすぐに素敵な人が現れる。」
「おい!!選別から八年、会話らしい会話もしてねぇのに、なんでわかるんだよ。」
「陽華から全て聞いてるし、お前には、心のなかでいつも語り掛けていた。」
そう言うと、義勇は得意げにムフフと笑った。その顔を見て、村田は呆れたように、思わず突っ込んだ。
「そんなん、気づくわけねーだろっ!」
義勇のわかりづらい愛情表現に、苦笑いしつつも嬉しかった村田は、そのまま言葉を続けた。