第41章 繋ぐ想い 前編
鱗滝を見送り、屋敷内に戻った陽華は、廊下で村田に会った。
「おっ、陽華!?」
「あー!!村田、会いたかった!」
陽華が勢いよく抱きつくと、村田は恥ずかしさで顔を赤らめた。
「お、おいっ、これはくっつきすぎだぞ!」
それでも、陽華の元気そう姿を見れたことが嬉しかったのか、目に涙を溜めながら、抱きしめ返した。
村田は陽華が起きた当初から、何度か見舞いには、来てくれていた。その頃から見れば顔色も良く、一人の力で何にも頼らずに歩いてる姿には、来るものがあった。
「陽華、元気になって良かったな。ボロボロの姿も見てるから、こんな元気になって、本当に嬉しいよ。」
村田は手の甲で目の周りを拭うと、嬉しそうに笑った。
「ありがと。でも、私はまだいい方だよ。途中で戦線離脱しちゃったし、意識は失っちゃうし。…義勇や実弥なんて、重症だし、色々と無くなっちゃって、日常復帰訓練に、毎日忙しいんだよね。」
そう言って苦笑いする陽華に、村田は申し訳なさそうに言った。
「そんなことないよ。陽華だって頑張っただろ。一度、心臓まで止まっちまったし。…本当にお前達…柱には、感謝してもしつくせないよ。命を掛けて戦ってくれたから、今のこの世界があるんだ。ありがとう。」
村田は陽華に頭を下げた。
「……私は自分のしたいことしただけ。散っていった柱達も、きっと同じ事を言うよ。……でも、感謝されるのは悪くないね。」
陽華はそう言って、村田に笑い掛けた。その笑顔に村田も笑い返した。