第39章 目覚め
その言葉に義勇は、堪らずに思い切り陽華を抱きしめた。
「…お前、俺よりも男前が過ぎるぞ。」
恨めしそうにそう呟く。
「ムフフ、そうでしょ?」
得意げに微笑む陽華の頬に、義勇は手を当て、自分の方に向かせると、その顔を真っ直ぐに見つめた。
「俺は、お前に何も与えられないかもしれない。それでも約束する。もう絶対に離さない。一生かけて、お前を幸せにする。」
義勇の顔が、陽華へと近づく。
「今まで言えなかった分、毎日、煩いくらい愛してると伝える。だから、もう一度、言わせてくれ。」
陽華の鼓動が早くなる。義勇を見つめる顔が、熱を帯びて、熱い。
義勇はそこで深く息を吸い込むと、ゆっくりと、言葉の続きを紡いだ。
「これからもずっと、俺の傍で、俺と共に歩んでほしい。」
「はい、宜しくお願いします。」
その瞬間、義勇の唇が、陽華の唇と重った。
お互いの気持ちを、もう一度確認し合った後のその口づけは、どんな濃厚な口づけよりも、心地よく、二人の心を満たしてくれた。
長い口づけが終わると義勇は、陽華の額に自分の頬を押し付けて、呟いた。
「本当なら、今すぐにでもお前と一つになりたい気持ちだが、流石に神崎に怒られそうだ。」
「いや、私も怒るよ。そんな身体で何言ってるの?」
「それくらい、お前が…愛しくて堪らない。」
「ん、私も。……だから、」
陽華が義勇を、可愛く上目遣いで見つめた。
「治ったら、いっぱいしてね?」
「それで誘ってるんじゃないなら、意地が悪いぞ。」
べーっと、可愛く舌を出す陽華に、義勇は思いついたように、小さく微笑んだ。
「でもその時になったらと思うと、少し不安だ。利き手ではない左手だけで、お前を満足させられるか。……だから今のうちに、少しでも練習しておくか。」
そう言うと、義勇の手が陽華の背中を優しく撫で付けた。
「こらっ!調子に乗らないのっ!」
陽華が義勇のおでこを指で弾いた。義勇はおでこを擦りながら、「すみません。」と呟いた。