第39章 目覚め
「やっぱり、狭くない?」
「もっと寄ればいい。」
義勇は左手を陽華の首元から、背中に回すと、そのままギュッと抱き寄せる。
「身体、冷たいな。」
「もう春とは言え、お布団の外は、まだ寒いからね。」
「もう少し、早く気づけばよかった。お前だってまだ、傷が癒えてないのに。…本当に駄目だな、俺は。」
「その事に気付けたことに、良しとしよう。」
義勇を気遣い、笑顔でそう言った陽華に愛しさを感じ、義勇はお詫びにその身体を温めようと自分の身体を擦り寄せた。
するとその身体に、違和感を感じた。
「…少し、小さくなったか?」
「あ、うん。ずっと寝てたから、かなり体重が減ったの。それと全集中の呼吸も解いたし、鍛錬もしてないから、筋肉がなくなってきたのもあるかな。」
陽華がそう言うと、義勇は首に回した腕を一旦抜き、その手で陽華の身体を確認するように撫で回した。そして最後に、柔らかな果実をきゅっと掴むと、優しく揉みしだく。
「うん。ここはまだ……あるな。」
「何の確認よ?」
「…別に大きい方がいいとは言わないが、このふわふわが無くなったら、少し寂しい。」
「そうなの?じゃ…、無くならないように、努力します。」
そう自分で言って置いて、何でこんな宣言をさせられてるんだろうと、陽華は怪訝な表情を浮かべた。
義勇はムフフと笑うと、柔らかさを確認するように、再度陽華を抱きしめた。しかし、片手だけではどうにもバランスが悪く、陽華は補うように、義勇の背中に手を回した。
「あ…、義勇も小さくなったね。」
義勇の身体をペタペタも触ると、義勇はちょっと複雑そうに、眉を潜めた。
「…それは、男としては複雑だ。傷が癒えたら、機能回復の訓練をして、少し運動しよう。…それに、何もしなかったら、すぐに太りそうだ。」
義勇は少し困った顔をしていたが、陽華は、太った義勇が顔中にご飯粒を付けたまま、「おかわり!」と言って、茶碗を差し出す姿を想像してしまい、笑ってしまった。
「ふふ、太った義勇も可愛いかも…。」
「…本当にそう思ってるのか?…でもお前だって、全集中を解いたんだ。気を抜くとすぐに、脂肪に変わるぞ。…この辺はもう柔らかい。」