第39章 目覚め
「うぅ…っ、…くっ…、」
義勇の表情が険しくなった。陽華がここに通うようになって、何度目かの発作だ。
「義勇っ!」
「…っ…、はぁ…はぁ…、」
眉を潜め、苦しそうに首を振りながら、義勇は激しく息を乱した。その様子に慌てて、陽華はアオイの名を呼んだ。
「アオイ、ちょっと来てっ!!」
ただならぬ声に、アオイが急いで駆けつけてきた。しかしそこに陽華の姿を見つけると、びっくりしたように目を見開いた。
「陽華さん、何でここにいるんですか?貴方はまだ、ベッドで安静にしてないと駄目だって、何度も言ってるでしょう!」
「そんなことより、義勇がっ!」
泣きそうになってる陽華を見て、アオイはため息を付くと、義勇の様子を見始めた。
「かなり熱が上がってますね。今、解熱剤を入れますから、少し待ってて下さい。」
アオイが慌てて部屋から出ていった。
陽華も居ても立ってもいられずに、何か冷やすものを持ってこようと、立ちあがった。
部屋から出ようとすると、部屋の外から話し声が聞こえた。
アオイと、しのぶの代わりに来た医者が話してる声だった。
「冨岡さんが、また熱をっ!」
「これだけ回復の兆しが見られないなら、もしかしたらもう。…今夜が峠かもしれない。」
医者の言葉に、陽華は目の前が暗くなるのを感じる。
扉から離れ、義勇の元に戻ると、荒く息を吐き出す義勇の手に触れた。
「義勇…早く帰って来て!お願い…みんな、義勇を連れて行かないで…。」
陽華は崩れるように床に座り込むと、祈るように、義勇の手をぎゅっと握りしめた。