第38章 最終決戦 夜明け
「悔しいよ、お兄ちゃん。負けないで…、あともう少しだよ?鬼になんて、なっちゃだめ…。」
禰豆子は噛まれた痛みに、必死に耐えながら、炭治郎に語りかけた。
「帰ろう……ね?家に帰ろう?」
グオオオォォォ!!
突然、炭治郎が叫んだ。
さらに攻撃をやめようとしない炭治郎を止めようと、善逸が、陽華が、伊之助が、必死にしがみつく。
「炭治郎、やめろーーっ!禰豆子ちゃんだぞ!元に戻ってる!人間に戻ってる!!」
「炭治郎、禰豆子よっ!その娘は貴方が命を賭けて守ってきた、大切な妹よっ!?」
「こんなことしたら、死んじゃうよ!!お兄ちゃんて、呼んでるだろ!!」
グワウゥ!!
「やめろーーーっ!!あんなに優しかったのに…!元の炭治郎に、戻れよォオオオ!!」
ドンッ!
突然、炭治郎から無惨が放ったような衝撃波が放たれ、周囲にいた陽華達は、炭治郎にしがみついた禰豆子以外、全て吹き飛ばされた。
陽華は地面に投げ出されたが、受け身を取りそこね、ゴロゴロと転がった。
(…もう、受け身を取る…体力さえ、残って…ない。)
荒い息を、繰り返しながら、陽華は炭治郎に視線を戻した。