第38章 最終決戦 夜明け
数分後、村田に引っ張られるように連れて来られた義勇が、陽華の視界に映った。
「……陽華。」
義勇は信じられない物でも見たように、目を見開いて、陽華の側に駆け寄った。その側に膝まづくと、優しく手を握りしめた。
「…義勇。よかった、無事で。」
「…それは、お前の方…だ。……もう、死ん…だと…、俺は…、くっ…、」
堪えきれず、義勇の瞳から涙が零れ落ちた。義勇は、片手でゆっくりと優しく陽華を抱き上げると、その頬に自分の頬を寄せた。
「……良かった…本当に…、」
義勇の涙が流れてきて、陽華の頬を伝い落ちる。その暖かさに、自分は生きているんだと実感した。
「うん、あの世に行ったんだけど。みんなに追い返されちゃったの。」
あれは夢で、本当は自分の都合のいいように解釈しただけかもしれない。
それでも、自分の大好きな仲間たちなら、きっと同じように送り出してくれただろう。
「…他の皆は?」
「……わからない。…何の説明もないまま、大泣きの村田に連れて来られた。…炭治郎の生死がわからない。」
「えっ!?……じゃ、行ってっ!」
陽華の言葉に、心配そうに瞳を揺らす義勇に、陽華は微笑み掛けた。
「私は、もう大丈夫だから。」
その笑顔に義勇は微笑み返すと、静かに頷き、炭治郎のところに向かって走り出した。