• テキストサイズ

【鬼滅の刃】水魚之交

第38章 最終決戦 夜明け





その小ささに、思わず陽華は息を飲んだ。

小さい頃、陽華達にとって錆兎の存在は大き過ぎて、こんなに小さいと思ってなかった。
それなのに自分は、錆兎に全てを背負わせて、頼り切りになっていたことを思い知らされた。

陽華は錆兎を、ギュッと抱きしめた。

「……ごめんね、錆兎……。私、いつまでも貴方に心配掛けて…、選抜の時だって…、私がもっと…、」

言い掛けた陽華の唇に、錆兎は自分の人差し指を当てた。

「俺のことはもういいんだ。お前たちを助けたのは俺の誇りだ。……他の誰でもない、お前たちがそれを否定するのか?」

そう言って、錆兎は呆れたような顔を返した。その顔の懐かしさに、陽華の顔にも自然と笑顔が溢れる。

「…それに俺はもう、次の段階に入った。」

「…次の段階?」

陽華が問いかけると、錆兎はにこやかに笑った。すると突然、ふわっと錆兎の姿がぼやけた。

「錆兎っ!…もう行っちゃうの?」

まだ行かないでほしい。縋るように錆兎の手を掴む陽華の手を、錆兎は優しく握り返した。

「お前は早く、義勇のところに帰ってやれ。アイツは昔から泣き虫なんだ。お前が面倒見てやらないと、駄目だろ?」

あのバカ野郎は本当に変わってない。そう言わんばかりに、錆兎は呆れ顔を浮かべて笑った。陽華はその笑顔に同調するように微笑むと、手の甲で涙を拭いながら、コクリと頷いた。

「俺はもう大丈夫だ。陽華、きっとまた…会える。」

錆兎は最後に優しく微笑むと、暖かい光となった。その光は陽華を身体を包みこんで、陽華の心まで暖かくしてくれた。




ー 錆兎、ありがとう。またね。





そこで、陽華の意識はまた遠くなっていった。




・・・・・
/ 550ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp