第38章 最終決戦 夜明け
「カ、カナエぇー!!」
「姉さぁーん!!」
今度は二人して、カナエに飛びついた。二人に抱き付かれて、カナエは困りながらも、嬉しそうに微笑んだ。
「もう、二人共。私より長生きしたのに、ちっとも変わらないわね。」
自分よりも年上になってしまった二人なのに、まるで妹が二人に増えた気分だった。
そのままその胸で泣きじゃくる陽華の肩を、何かに気付いたカナエが優しくポンポンと叩いた。
陽華は促されるまま、カナエの視線の先を見ると、そこには散っていった鬼殺隊の仲間たちがいた。
「陽華、よく頑張ったね?」
「お館様っ!」
「君はこの子達に、申し訳ないと思っているようだが、それは間違いだよ。ここにいる子達は皆、立派にその責務を果たした、私の自慢の子達だ。」
お館様にそう言われ、そこにいる隊員達は誇らしげに顔を緩めた。
「だから君が、罪悪感を感じることないんだよ。この子達は、私が最後まで面倒を見る。」
そう言って、優しく微笑むとお館様の背後から、無一郎が声を掛けた。
「陽華さん、早く帰りなよ。」
そう言って、無一郎は微笑んだ。その笑顔に、陽華の胸が苦しくなった。
「…でも、一番小さい貴方が命を掛けたのに…、私だけが…、」
「ううん、気にしないで。俺も陽華さんには幸せになって貰いたいんだ。記憶のない俺を、いつも気に掛けてくれて嬉しかった。……本当は俺が、幸せにしてあげたかったけどね?」
そう言って、無一郎は可愛く舌をペロッと出した。
「むいくん……、ありがとう。」
そう言って、涙ぐむ陽華の身体に、しのぶが抱きついた。
「陽華、必ず幸せになってくださいね。それと、冨岡さんに伝えてください。陽華を泣かせたら、こっちに来た時、容赦しませんよ?って。」
「しのぶ、ありがとう。」
別れを惜しむように、抱きついてきたしのぶを、陽華は抱きしめ返した。その横から、カナエがにっこりと顔を出した。