第38章 最終決戦 夜明け
陽華は突然の登場に驚きながらも、久しぶりに会えた親友に、嬉しさのあまり、勢いよく抱きついた。
「カナエーーーっ!!」
急に飛びつかれ、バランスを崩したカナエは、後ろに尻もちを付いた。
しかし、泣きじゃくるように、自身の胸に顔を埋める陽華を見ると、優しく頭を撫でてくれた。
「陽華、再会を喜んでくれるのは、嬉しいんだけど。もう一人のいるのよ。」
その言葉に陽華は顔を上げ、カナエの視線の先に顔を向けた。そこにいたのはもう一人の親友、胡蝶しのぶだった。
「しのぶっ!!」
陽華は立ち上がり、しのぶに向かって声を掛ける。しかし、しのぶは何も言わずに、怒りや悲しみとも取れる眼差しを陽華に向けるだけだった。
きっとしのぶは自分の事を、怒ってるんだ。そう判断した陽華は、しのぶに向かって、頭を下げた。
「ごめん!!……怒ってるよね。あなたを犠牲にして、自分だけ生き残ったこと。でも安心して?私も一緒に、そっちに行くことになったから…。」
「………」
それでも何も言わないしのぶに、陽華は困惑の表情を浮かべた。
それを横で見ていたカナエは、しのぶの気持ちに気づかない陽華に呆れて、ため息を付いた。
「もう、陽華。しのぶはそんなことで、怒ってるんじゃないわ。貴方がここに来た事を、怒ってるのよ。」
「え?」
驚いた顔で、しのぶを見つめる。しのぶは静かに陽華近づくと、悲しそうな瞳を向け、こう言った。
「陽華、帰りなさい。今なら、まだ間に合う。私は貴方を死なせるために、あの方法を選んだんじゃない。貴方に生きて欲しかったからよ。」