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【鬼滅の刃】水魚之交

第37章 最終決戦 鬼の始祖 後編





「私は…もう駄目…、もう…何も…考えられ…ないの。」

「駄目だ、逝くなっ!しっかりしろ、陽華っ!俺を……、俺を置いて逝くなっ!」

義勇の陽華に呼び掛ける悲痛な声が、街中に響き渡った。


「ごめんね…ぎゆ…う。もう…聞こえ…な…っ。………私……あなた…に、会えて……、しあわ…せ…だった…。」


そう言うと、陽華は優しく微笑んだ。そしてそのまま力無く項垂れると、義勇の手を握った陽華の手が、ゆっくり溢れ落ちていった。



「陽華……?」



義勇は、目の前で起こっていることが理解出来ず、小さく掠れた声で愛しい者の名前を読んだ。

しかしその唇から、答える声はもう聞こえない。その瞳を義勇に向けて、優しく微笑んでくれる者ももういない。義勇の瞳から、静かに涙が溢れた。


「あ…あぁ…、嘘だ……、逝かないでくれ…陽華…。…うぅ…う…、あああぁぁああ……!!」


義勇の慟哭が、街中に響き渡った。義勇は動かない陽華の身体を覆い被さるように、強く抱き締め、泣き叫んだ。




ー また守れなかった 俺は 俺は……




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