第37章 最終決戦 鬼の始祖 後編
陽華は周りを横目で確認した。吹き飛んだ数人はまだ動きがある。その中に、義勇の姿を確認して、安堵した。
それでも、自分の置かれている状況が変わるわけではないが。
(これって、かなり不味い状況じゃない?)
その場に立ち尽くす陽華のその数メートル先には、冷たい視線で陽華見下ろす無惨の姿がある。
その姿を見て、近くにいた善逸が慌てて陽華の後ろに姿を隠した。
「……陽華…さん、ど、どうするの?」
「…善逸、逃げなさい。」
「で、でもっ!!」
陽華は後ろで震える善逸に、逃げるようにと手で押し出すと、無惨に向き直った。無惨は涼しい顔を向けると、ゆっくりと陽華に近づいてきた。
「女、私をここまで追い詰めた事、褒めてやろう。」
そう言って、近づいてくる無惨を
、陽華は何も言わずに睨みつけた。
この間も、この状況を打破するための方法が、頭の中をぐるぐる回る。が、何一つ決定的な物が思い浮かばない。
そうしてるうちに、無惨はもう目の前まで迫っていた。
もう、逃げられない。
そう覚悟を決めた陽華の心臓は、驚くほど穏やかに波打ち始めた。