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【鬼滅の刃】水魚之交

第37章 最終決戦 鬼の始祖 後編





無惨の触手が、自分に集るハエ共を一層するように、激しく動き回った。だがそれは、精細に欠けていて、柱たちに次々とそれをなぎ払い、華麗にかわしていく。

鬼殺隊の攻撃が、確実に無惨に冷静さを失わせていた。

それに気づいた行冥が、無惨から距離を取った。

「有難い!氷渡、お前の作戦のお陰で、僅かながら余裕が出来た。アレをやれる!!」

「アレ?」

首を傾げる陽華をよそに、行冥は自分の武器をブン回すと、鎖の先端についた斧と鉄球を激しくぶつけ合わせた。すると、そのぶつけ合わせた場所から、ゆっくりと色が赫く変わって行った。

「おお!!」

陽華は思わず、叫んでいた。

これも鴉からの報告であった。先の上弦の壱との戦いで、行冥と実弥の刀がぶつかりあった際、その刀身が赫く染まったという。

それを行冥は一人でやってのけた。

こちらの条件も恐らく熱。金属がぶつかり合う時に生じる真っ赤な火花。それが起爆剤になっているのだろう。

だったら、他の者同士でも発現は可能なのではないか。そしてそれは恐らく、片方が圧されることのないギリギリの、均衡した力を持った者同士でなければ、発生し得ない。

そう計算した陽華は、近場にいた実弥の名を叫んだ。

「実弥ぃーー!!」

「おうっ!!」

陽華の掛け声に、実弥が気付いたように走り出した。

「冨岡ァァァー!受けろォォ!!」

そう言って、実弥が義勇に刀を繰り出した。いきなり斬りかかろうとする実弥に、義勇は意味がわからず、半ば無意識にその刀を受け止めた。



ガチィィン!!



激しく火花を散らして、金属がぶつかり合う。その瞬間、ぶつかり合った部分から刀身が赫く染まっていった。


それと同時に、空を舞う一羽の鴉が時を告げた。


「カアァァ!夜明ケマデ、一時間三分!!」

「余裕余裕!!糞味噌にしてやら"ァァァ!!」


ずっと反発し合ってきた二人が、刀を向け合うことでしか、認めあえなかった二人が、鬼の始祖と言う強大な敵を前に、お互いを信用し、協力し合い、背を預けて戦っている。



その姿に陽華は、胸が熱くなるのを感じた。




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