第37章 最終決戦 鬼の始祖 後編
「さてと、おじさん達の様子はどうかな?」
陽華はおでこの札を外し、戦局へと視線を戻した。
ちょうど小芭内の刀が、無惨の腕を斬り裂いたところだった。
無惨の動きが止まり、一瞬の間のあとに腕が再生した。
「遅い!赫い刃で斬られると、無惨でさえ、再生が遅くなる!」
実弥が喜々として叫んだ。その様子をみていた陽華も興奮で身体を熱くした。
(やった!赫刀なら、再生にかかる時間分、隙が出来るし、体力も削ることが出来る。)
その勢いに乗じて、善逸達の撹乱も続く。
ー 花の呼吸 肆ノ型 紅花衣
ー 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃
「つまらぬ小細工ばかりするな!蝿どもが!!」
無惨の顔が怒りで歪む。
ー 蛇の呼吸 参ノ型 塒締め
そこに畳み掛けるように、小芭内の蛇が無惨を締め上げるように、身体を切り刻んだ。
(よし、このまま一気に戦局が変われば、夜明けまで保つ!!)
そして、陽華の期待に答えるようかのように、行冥が技を繰り出した。
ー 岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極
行冥の鉄球と鉄斧が、同時に無惨の肩口を貫いた。その隙を付いて、義勇が動き出す。
ー 水の呼吸 拾壱ノ型 凪
義勇が触手を凪いだ場所に、実弥が入り込み無惨に技を仕掛ける。
ー 風の呼吸 伍ノ型 木枯らし颪
だが、それは陽動だった。
ー 蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙
その直後、背後に回った小芭内の蛇の幻影が、無惨の背中を斜めに一直線に切り裂いた。
無惨の身体が一瞬揺らぎ、顔が怒りで歪む。
そうしてる間にも、姿を消した伊之助達の、撹乱のような攻撃が続いた。