第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
「なによ、足手纏いって…。勝手に心配してるだけじゃない。私の柱としての矜持はどうしてくれるのよ。」
休んだとしても何も変わらない。時期に死ぬだろう。それほどまでに鬼舞辻の血は身体中に廻っていた。
「…なら、最後まで戦わせてよ。」
今にも遠退きそうな意識の中、義勇と実弥に恨み節を呟いた。脈が速くて熱い、身体中が軋むように痛んだ。気がついたら、涙が静かに溢れて頬を伝った。
「また、泣いちゃった…。」
ボロボロになった隊服の袖で、静かに頬を拭った。その時だった。
「おい、陽華!」
突然、名前を呼ばれ、振り向くと村田が壁の影からこっちを見ていた。
「村田?」
村田は陽華に近づくと、その腕を掴んで立たせた。
「戦闘に参加させて貰えないなら、こっちに来てくれ。炭治郎が危ないんだ、声掛けてやってくれないか?」
「…うん。」
小さく頷くと、村田は陽華の腕を肩に回し、支えるようにして歩きだした。
その姿に既視感を覚えた陽華は、小さく笑った。
「そういえば、前もこんな風に、村田に肩貸して貰ったことあったね。」
「ん?そんなことあったか?」
村田は不思議そうに首を傾げた。
「私、村田のお嫁さんになろうかな。…あんな、人を足手纏いにするようなヤツっ、こっちから捨ててやる!」
義勇に対して憎まれ口を叩く陽華に、村田は笑いながら言った。
「マジか?俺はいつでも歓迎だぞ?」