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【鬼滅の刃】水魚之交

第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編





無惨の攻撃に吹っ飛ばされた陽華は、地面に転がった。幸い、飛ばされただけで済んだ。すぐに反撃に出ようと立ち上がるが、身体が重い。陽華は片ひざを付いたままの姿勢で固まってしまった。

「はぁ…はぁ…うっ…、」

呼吸で鬼舞辻の血の巡りを遅らせてはいるが、限界が近い。

(私まで抜けるわけには……、)

陽華の身体は、炭治郎よりも若干小さい。それなのに蜜璃より動けたのは、呼吸の扱いに長けていたからだ。使っている年数が違う。しかし同じく呼吸の扱いに長けている義勇達に比べたら、体つきも筋肉の量も遥かに小さい。故に血が回るのも早い。もう腕を上げるのさえも辛かった。

そんな陽華を心配してか、近くまで来た義勇が声を掛けた。

「陽華、一回引けっ!おまえはもう無理だっ!」

「解ってる、でも戦わせてっ!…こんな非力な私だって、いれば無残の攻撃を分散させることが出来る。みんなの負担を、軽減させることが出来るでしょ!?…少しでも役に立ちたいの!」

「しかしっ!」

言い争う二人に、傍らで無惨の攻撃を受け流していた実弥が、業を煮やして叫んだ。

「陽華、まだ夜明けまでには時間があんだっ、少しでいいから休めェ!!おまえがそんなんじゃ、冨岡が集中出来ねェんだァ!」

実弥にそう言われて、陽華は義勇の顔を見た。

「…足手纏いってこと?」

「…すまない。向こうに村田がいる。炭治郎と一緒に手当てを受けてくれ。頼む、陽華。」

そう言って義勇は、無惨に向かって走り出した。


一人取り残された陽華は、静かにその場に座り込んだ。


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