第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
すると突然、近くの瓦礫の山が、轟音とともに飛散した。
瓦礫が無くなるとその場所には、正しく文字通りの、鬼の形相で立ち尽くす無惨がいた。
「夜明けまで、私をこの場に留めるつもりか?やれるものなら、やってみろ!!」
無惨の腕が伸び、再び陽華達に襲いかかった。それだけでもやっかいなのに、今度はさらに背中から九本、腿から四本と鋭い刃先の付いた触手が増えていた。
「えーん、陽華ちゃん!あの人、怖すぎるんだけどっ!」
無残の姿を見ながら、蜜璃が鳴き声を上げた。
「私だって、怖いわよっ!でも、行くしかないでしょっ!」
陽華達は連携を取りながら、四人で一気に間合いを詰めた。義勇、陽華、蜜璃の攻撃で作った隙を突いて、小芭内が無惨の頚に横薙ぎに刃を入れた。
しかし…、
「え?え?あれぇ?斬ったのに、斬れてない!!」
蜜璃が驚いた表情で、無残を見つめた。
斬ったこと疑う速さ、斬られた瞬間から傷口が再生した。驚く陽華に、義勇も驚愕の表情を浮かべた。
「…この化け物っ!」
陽華が憎しみを込めて、吐き捨てるように叫んだ。しかし、この驚く出来事に気を取られ、陽華達は間合いを詰めすぎたことに気付くのが遅れた。
ビュンッ!