第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
足場を乗り移ると、無惨の姿を見えた。無惨はぶつぶつと呟き、何かに気を取られている様子だった。
今宵、初めて無惨が見せた隙。それを見逃す訳にはいかない。陽華は刀を構えた。
ー 氷の呼吸・壱ノ型
さらに、同じく好機を見逃すまいと飛び出した義勇と小芭内が、同時に型を繰り出した。
「氷輪!」
「打ち潮!」
「委蛇斬り!」
しかしそれは、強襲に気付いた無惨の触手によって防がれた。
べんっ!
またもや、琵琶の音が鳴り響き、今度は建物全体が激しく軋みだした。
(…崩れる!?…まずい、今この建物に崩れられたら、私達も含めて中にいる人間は全員死ぬ。)
陽華の不安を他所に、急に上昇し出した足場は、大きな音を立てながら、天井をぶち破った。その衝撃で吹き飛んだ陽華の身体は、瓦礫の中に投げ出された。