第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
「蜜璃っ!?」
「陽華ちゃん!どうしよ、私一番乗りで死にそうっ!」
さらにアワアワと慌てる蜜璃をみかねて、陽華が声を掛けた。
「ちょっと蜜璃っ、落ち着いて!?」
その瞬間、追い討ちを掛けるように、足場が大きく動いた。
「きゃーーー!!」
足元の床がなくなり、落ちそうになった蜜璃が叫び声を上げた。とっさに陽華が蜜璃の腕を掴んで引き寄せた。
「ありがとう、陽華ちゃん!」
「あんたは少し、落ち着きなさいっ!!」
だいぶ錯乱状態の蜜璃に、陽華の怒号が飛んだ。蜜璃は我に返って恥ずかしくなったのか、顔を隠しながら、「ごめんなさい。」と呟いた。
「まず、どういう状況なのか、説明しなさいっ!」
陽華がそう問いかけると、蜜璃は慌てながらも状況を説明した。
突然現れた鬼の少年が、上弦の肆を操っていること。そして今、必死に無惨を外に出そうとしてること。自分たちはその鬼が有利になるよう、無惨の気を反らすこと。
「だー!!そう言うことなら、もっと速く言いなさいよっ!」
陽華は蜜璃を離して、無惨に近づくために走り出した。足場を飛んで、無惨の元へ向かう。
「あぁっ!待って、陽華ちゃんっ!」
その後を蜜璃も追いかけた。