第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
「やめなさいよーーー!!」
そう叫びながら、壁をぶち破って現れた恋柱・甘露寺蜜璃が、炭治郎を助けるべく、無惨に攻撃した。
ー 恋の呼吸・陸ノ型 猫足恋風
「よし、手応えあり!」
自信ありげにそう叫んだ蜜璃だったが、その攻撃はまったく無惨に効いておらず、驚いて目を見開いた。
「蜜璃ー、よくやったっ!!」
陽華は蜜璃に向かい、思わず叫んだ。生きていた驚きよりも、嬉しさで胸が熱くなる。
さらに炭治郎の姿を確認すると、炭治郎は小芭内によって救い出されていて、陽華は安堵した。
しかし、安堵した陽華達とは異なり、無惨は小芭内達の姿を確認した途端、顔を怒りに赤くさせた。
「何をしているっ!鳴女っ!!」
無惨の怒号が、城内に響き渡る。その時だった。
べんっ!!
また琵琶の音色が響き、城全体が揺れ始めた。
べんっ!べんっ!
鳴り響く琵琶の音と共に、次々と部屋の景色が変わる。その度に押し潰されそうな圧を感じ、陽華は顔を歪めた。
(すごい、圧力。う…動けない…、)
べんっ!
さらに足場まで動き始めた。縦横無尽に動き回る床に、陽華は耐えきれず膝を着いた。
その陽華の横に蜜璃が落ちてきた。