第36章 最終決戦 鬼の始祖 前編
陽華は悲しみを払拭するかのように、首を振った。今は悲しんでいる場合じゃない。しかし、考えていた唯一の打開策を失い、動揺が隠せない。
(落ち着いて!…これは私たちを動揺させる為の、無惨の作戦。奴の思う壺だ。)
陽華は無惨の攻撃を受け流しながらも、落ち着かせるように、呼吸を繰り返した。
しかし、動揺が走ったのは、陽華だけじゃなかった。その隙を突かれた無惨の攻撃に、義勇と炭治郎が離れてしまった。
「炭治郎っ!!」
炭治郎がよろめきながら、無惨の攻撃を避ける。陽華は援護に回ろうと、炭治郎に近づくが、その行く手を無惨の腕によって塞がれた。
(ダメッ、近づけないっ!)
そのまま、懸命に無惨の攻撃をかわす炭治郎だったが、片目を失ったせいか、距離感が掴めず、壁に強かにぶつかりよろめいた。
そこに空かさず、無惨の触手が襲いかかった。
「「炭治郎ーーーーっ!!!」」
陽華と義勇が同時に叫んだ、その時だった。