第35章 最終決戦 邂逅
「他のみんなは?」
花子によると行冥、実弥、無一郎と玄弥の四名が上弦の壱と、小芭内と蜜璃が上弦の肆と対峙中で、どちらも苦戦してるとのことだった。
(まだ誰も無惨のところに辿り着いてない。)
みんながバラバラにされて何時間経ったのか?気絶した時間も含まれていて、正確な時間がわからない。しかしそろそろ無惨が復活しててもおかしくないだけの時間が経っていることだけはわかった。
(結構危うい状態なのでは?)
そんな不安が陽華に募る。それとは別に、もう一つ浮かんだ疑問。伝達が異様に早くないか?
「花子、なんでこんなに伝達早いの?……その首のところに付いてる紙はなに?」
陽華の問いかけに花子は、素早く説明をしてくれた。鬼殺隊に来た協力者、その付き添いの鬼の血鬼術であることと、その術の概要を。
「へえぇ…、便利。」
思わず呟いた。前から思っていたが、血鬼術の能力の多様さには、驚かされるばかりだ。血鬼術の起因は、人間だった頃に得意だったものや、思い出や憧れなど様々だ。中には雑魚鬼なのに、柱でさえ躊躇するような厄介な物もある。鬼と対峙する際に一番に気を配る所だ。
「ん?じゃ、その血鬼術で鬼舞辻の居場所とか、解るんじゃないの?」
陽華が思わず聞くと、花子の答えは無理。とのことだった。この城自体が常に形態を変化しているから、その場に留まっている者の現状を伝えることは出来るが、道案内は出来ない。まぁ、この城も恐らく血鬼術。そんなに簡単には行かないのだろう。
「ちぇっ…。」
陽華は思わず、舌打ちした。これはやはり自力でたどり着くしかないようだった。