第34章 最終決戦 上弦の弐
陽華がそう願った次の瞬間、目の前にカナエの姿が見えた。陽華が驚いて目を見開くと、そこにいたのは…、
「カナヲっ!」
陽華がカナエだと思った者は、カナエの呼吸を引き継いだカナヲの姿だった。カナヲの目が充血している。使ったのだ。花の呼吸・終ノ型を…。
陽華の攻撃に気を取られていた童磨は、カナヲに気づくのが少し遅れた。カナヲが振り抜いた刀は、童磨の頚を捉えた。
カナヲの一撃に、扇子に掛かる童磨の力が弱まった。陽華は再び、刀を握る手に力を込めた。
(腕なんかなくなったっていい、今この瞬間に全てを掛けるっ!)
「うおぉぉぉぉ…!」
少しづつ扇子を押し戻し、陽華の刀は童磨の頚に食い込んだ。それに危機感を感じた童磨が扇子を開くと、菩薩像から凍てつく吐息が吐き出された。
(あぁ、冷たいっ!身体が…固ま…る…、)
その時だった。菩薩によって捕まっていた伊之助が叫んだ。
「ぬおおおお!!獣の呼吸、思い付きの投げ裂きィィィィ!!」
伊之助によって、勢いよく投げられた二つの刀が、うまい具合に陽華とカナヲの刀に引っ掛かった。その勢いのまま、押し出された刀は、とうとう童磨の頚を薙ぎ切った。