第34章 最終決戦 上弦の弐
ー 血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩
突如、童磨の血鬼術で巨大な菩薩像が、床を割り、天井を突き破りながら現れた。
立っていた床がくずれ、三人は体勢を崩した。そこに間髪いれず、菩薩の手刀が襲いかかってくる。
陽華は寸でのところで、上に飛んでその手刀から逃れると、そのまま反対側の腕に飛び乗り、そこから菩薩像の頭に向かって、走り出した。
(大技に見えるけど、反応速度が遅い…、しのぶの毒が致命傷を与えてるんだわ。行けるっ!)
陽華は菩薩像を駆け上がると、その先にいる童磨に向かって刀を構えた。
ー 氷の呼吸・玖ノ型
「絶刃氷華斬!」
ガツっ!
陽華の決死の覚悟で放った一撃。しかしそれは、童磨の扇子によって止められた。
「止められたっ!(なんて力なの!?こんなに、致命傷を追ってるのに!)」
陽華は最後の力を振り絞って、振り抜いた刀に力を込めた。しかし…、
(力が…出ない…?)
さっき利き腕に受けた血鬼術。時間が進むに連れてその腕は、完全に凍りつき、凍傷状態になっていた。必死過ぎて、感覚がないことにさえ、気づいてなかった。
童磨が強かったからじゃない、自分の力が出せなかったから、頚を切れなかったのだ。
(お願いっ、カナエ!力を貸して…、しのぶの為にもっ!!)