第34章 最終決戦 上弦の弐
陽華は足に絡まる蔓を刀で斬りつけながら、伊之助達の方を見た。伊之助達も広範囲に渡る血鬼術の応酬で、童磨に近づくことは出来なかった。
「くそ、邪魔すんなっ!」
氷の人形達の攻撃に伊之助が苛立つ。そんな伊之助にカナヲが声を掛けた。
「伊之助、落ち着いて!もう少しだけっ!」
カナヲの言葉に、童磨は一瞬だけ頚を傾げた。しかしすぐに思い直して、扉に向かって歩きだした。
(奴が逃げちゃうっ!…しのぶっ!)
陽華は童磨に向かって手を伸ばした。
その時だった。
部屋から出ていこうとした童磨の動きが止まった。突如、よろめき、その場に倒れ込む。
(効いてきた!やった、しのぶっ!)
強すぎる毒の作用で、己の姿さえ保てていない。氷の人形達にも次々と亀裂が入り始めた。陽華を絡めとっていた蔓も消え、陽華は走り出した。
「何だあぁぁ!急に消えたぞっ!罠かアァ、何かのぉぉ!!」
「違う!師範の毒が効き始めた!」
そう言って、カナヲも童磨に向かって走り出した
。陽華は驚く伊之助に向かって叫んだ。
「伊之助っー、一気に追い込むよっ!」
伊之助は全てを悟ったように頷くと一気に走り出した。
「覚悟しなさい、クソ野郎っ!」
「往生しやがれっ、ど腐れ野郎っ!!」
三人が同時に斬りかかった。その時だった。