第34章 最終決戦 上弦の弐
陽華は目を開いた。
(……約束した、しのぶと。必ず倒すって、カナヲと一緒に。)
何を弱気になっていたのだろうか。自分らしくもない。このまま死んだんじゃ、向こうでしのぶにもカナエにも、会わせる顔がない。
自分の不甲斐なさに恥ずかしくなった。それと同時に、我に返って焦った。戦ってる最中なのに、どれくらいかは知らないが気を失っていた。
(カナヲ!?)
急いで戦況を確認しようと辺りを見回した。
その瞬間、忘れていた痛みが甦った。背中の血は止まっていたが、奴からくらった血鬼術のせいで、右腕に違和感を感じる。でも今はそれどころではない。
陽華は辺りを見回し、カナヲの無事な姿を発見して、胸を撫で下ろすと同時に驚いた。
「…伊之助?」
カナヲの隣にいつの間にか、炭治郎の同期である嘴平伊之助がいた。
「陽華さん、よかった。気が付いたんですね?」
陽華に気づいたカナヲが、ホッとしたように顔を緩ませた。その隣で伊之助が呆れたように悪態をつく。
「お前、柱ってヤツなんだろ?気なんか失ってんじゃねぇよ!」
「本当にその通りで、返す言葉もありません。」
陽華は苦笑いすると、ペコリと二人に頭を下げた。
自分の弱さを認めたら、すっきりした。足りない部分があるなら、助けてくれる人がいるなら、手を貸して貰えばいい。
陽華は照れたようにはにかむながら、二人に微笑み掛けた。
「今度は失敗しないようにする。だから、力を貸してね。カナヲ、伊之助。」
「はい!」
「おう!」
(ごめんね、しのぶ。諦めようとして。貴方が命を掛けた作戦を、もう無駄になんかさせないから。仇は必ず私達が討つよ。)