第34章 最終決戦 上弦の弐
陽華はしのぶを支えるようにして、蝶屋敷内にあるしのぶの部屋まで連れていった。
部屋まで着くと、陽華はしのぶを休ませるように座らせた。
「何があったの?もしかして、血鬼術?」
しのぶは荒い息を整えると、陽華の問いかけに、小さく首を降った。
「ふぅ…。あなたには、話しておいた方がよさそうです。」
観念したように微笑むと、しのぶは静かに語りだした。
「毒を摂取しました。」
「…毒?」
まさかの言葉に陽華の顔が訝しげに曇った。そんな陽華にしのぶは笑顔を向けると、経緯を説明した。
姉、カナエを殺した鬼の殺し方とともに。
「そんな馬鹿なこと…、他に方法があるでしょっ!」
「ありません、これしか。私は自分で仇を取りたいんです。でも恐らく、私の力では倒せない。そして、貴方と二人の力でも…。」
しのぶの言葉に陽華は項垂れた。それは陽華自身もわかっていた。上弦の強さは異次元。今まで多くの柱達が上弦に葬られてきた。もう百年以上、上弦を狩ったと言う報告は上がっていない。