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【鬼滅の刃】水魚之交

第34章 最終決戦 上弦の弐





その扇風で後ろに激しく吹っ飛ばされた陽華は、壁に激しく背中を打ち付け、血を吐き出しながら地面へとずり落ちて行った。

(やばいっ、背中を打ったせいで…、息がっ…、)

陽華は、なんとか空気を取り入れようと喘ぎ、激しく咳き込んだ。

涙で霞む目に、ゆっくりと立ち上がる、しのぶの姿が写った。

「え、立つの?立っちゃうの?えーー、君ホントに人間なの?」

「…だめ、し…のぶ…、」

陽華はしのぶを止めようと、必死に藻掻いた。しかし、起き上がることさえ出来ない。

そんな陽華に、しのぶは振り返ると優しい顔で微笑んだ。

「だ、だめっ…、」

陽華は最後の力を振り絞り、無我夢中で身体を起こした。しかし次の瞬間、傷口から血が大量に吹き出し、耐えきれず苦悶の表情で床に倒れ込む。出血で目の前が霞んだ。

「君はもう助からないよ。維持を張らずに…、」

童磨がしのぶを諭すように優しく声を掛ける。しかし、しのぶは童磨に向き直ると刀を構え、呼吸を整えた。

ー 蟲の呼吸・蜈蚣の舞

次の瞬間、しのぶは飛び出した。

「百足蛇腹っ!!」

橋桁さえも破壊する、凄まじい踏み込み。

しのぶは童磨の懐に入り込むと、下から童磨の頚目掛けて、刀を突き上げた。その反動は凄まじく、童磨は天井まで押し上げられた。




しかし、それは儚い蝶の羽ばたきに過ぎなかった。



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