第34章 最終決戦 上弦の弐
「君はあの娘よりも、力はあるみたいだね、でも速さはあの娘の方が上だ。あの娘の毒で俺の動きを鈍らせて、君が頚を斬る。始めから二人で戦ってれば、勝てたかもね。」
そう言いながら、童磨は楽しそうに笑った。その言葉に陽華は顔を強張らせた。
(私がもう少し…速く来てたら…?勝てた…?)
「あれぇー?動揺しちゃったかな?」
知らない間に近づいた童磨に耳元でそう囁かれ、陽華は振り払うように刀を振った。童磨はそれをあっさりかわすと、陽華と距離を取った。
「冗談だから、安心して?君たちが最初から全力で戦っても、俺には勝てないよ♪」
「くっ!」
陽華は悔しそうに顔を歪めた。でも諦めるわけにはいかない。次の瞬間、童磨に向かって力強く踏み込んだ。
ー 氷の呼吸・弐ノ型
「氷牙突!!」
つららのように鋭い剣先を童磨の頚目掛けて、一直線に放つ。
ブシュッ!
入った!?
そう思ったのは束の間だった。陽華の刀の剣先は、童磨が盾にした扇と肩先に軽く刺さっただけで、頚には届いていなかった。
「うーん、残念だったね。…君はあの娘に毒に比べて面白味がないから、ここまでかなぁ。」
そう言うと童磨は手に持った扇を振り上げた。
(斬られるっ!)
陽華は咄嗟に刀を引き、身を傾けた。しかし間に合わず、童磨の扇は陽華の肩口から腹までをおもいきり斬り裂いた。